1939年7月。外交官としてフィンランドに赴任していた杉原千畝は、日本人のいないリトアニアに日本領事館を開設するよう命じられる。戦争の足音が迫りくる中、ソ連とドイツの動向を諜報するという任務を背負っての転任だった。2か月後、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発する。
その頃ポーランドでは、ナチスによるユダヤ人迫害が激しさを増していた。ノエルと婚約者エバにも魔の手が迫り、ノエルはリトアニアへの脱出を決意する。だがエバの父の反対を受け、二人は離ればなれに。
やがてリトアニアにも戦火が及び、ソ連より日本領事館の閉鎖命令が下る。その直後に杉原が目にしたのは、領事館を取り囲む、200人以上のユダヤ人───。
ノエルら代表団は、第三国への出国に必要な日本の通過ビザの発給を懇願する。
本国に電報を打つ杉原だったが、返答はもちろん「否」。
従うべきは、組織か、人の道か……。苦悩の果てに、杉原はついに決断を下す。